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2025年7月22日火曜日

精神病院での患者虐待事件をなくし、安心して利用できる精神医療を求める要請書 院長あて

 

2025年7月11

 

静岡県立こころの医療センター 

院長 大橋 裕  殿

 

心の旅の会「市民精神医療研究所」

                                        寺澤 暢紘

 

精神病院での患者虐待事件をなくし、安心して利用できる精神医療を求める要請書

 

 私たち「心の旅の会」は、1980年に発足した精神障碍当事者を中心とした自助グループです。「心の旅の会」では参加者相互の交流を進めながら、精神医療の問題を考え、その改善を求めています。そのため、「市民精神医療研究所」を開設して、精神障碍当事者の地域支援の在り方や、精神病院の改善に向けた調査・研究を進めています。

さて、425日の貴院における患者虐待事件は、県内では202212月にふれあいホスピタル沼津・南伊豆の2病院での患者虐待事件が報道され、2年余りの時間で何故また、同じような事件が起きたのか、率直に考えていただきたいと思います。

貴院では、県立病院としての長い歴史の中で、精神保健福祉法で定められている県立病院の役割を果たし、精神障碍当事者の様々な病状に応じた治療が行われ、退院後の地域生活に向けた、適切な治療やケアが行われていると思います。

しかるに今回の事件は、症状変化に伴う限定的な使用である保護室での行為であり、あり得ない看護職員の行動だと思います。保護室は、厚生労働大臣が定める行動の制限として、「内側から患者本人の意思によっては出ることができない部屋の中へ一人だけ入室させることにより当該患者を他の患者から遮断する行動の制限をいい、12時間を超えるものに限る。」とされ、また、厚生労働大臣が定める基準では、「基本的な考え方」として「患者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるものとする。」とあり、「対象となる患者に関する事項」として、「隔離以外によい方法代替え方法がない場合において行われるものとする。」、「他の患者との人間関係を著しく損なうおそれがある等、その言動が患者の病状の経過や予後に著しく悪く影響する場合」等とあり、遵守事項には「洗面、入浴、掃除等患者及び部屋の衛生の確保に配慮するものとする。」とあります。

このように保護室使用は限定的で、病状の悪化に応じた場合の使用となり、今回でも「不穏時の頓服薬対応」という状況でありながら、そのような当事者に対して虐待行為に及んだのか、冷静に顧り見る必要があると思います。

なお、障害者虐待に係る通報について、精神保健福祉法(以下法と言う)第40条の3の規程では「速やかに、これを都道府県に通報しなければならない。」とあります。ところが貴院の通報は事件から3日目であり、法の趣旨及び、虐待防止に係る厚労省通知(「虐待防止措置及び虐待通報の周知」、「虐待防止対策に係る事務取扱要領」)を踏まえたものとは思えません。

したがいまして、今回の事件を「個人の過ち」に止めず、病院組織としての再発防止策を講ずる中で、院長はじめ職員一人一人が入院患者と向き合い、精神障碍者の人権擁護や治療・ケアの観点での検証作業を丁寧に行い、誰もが安心して利用できる精神医療を目指す努力を重ねて求めたいと思います。

つきましては、下記の通り要請いたしますので、8月15日(金)までに文書による回答をお願いします。

1 令和5年12月14日付「精神科病院における精神障害者に対する虐待防止措置及び虐待通報

の周知等について」に基づいた、貴院の虐待防止措置及び、周知並びに相談体制を明らかにす

ること。

2 前記通知の別添1の掲示状況及び、別添2の配布状況を明らかにすること。

3 虐待被害者及び保護者への謝罪が行われた日時、場所、謝罪者肩書を明らかにすること。

4 障害者虐待に係る通報について、精神保健福祉法第40条の3の規程では「速やかに、これを

都道府県に通報しなければならない。」とあるが、虐待事件から6日目に静岡市保健所に通報し

ていることから、貴院独自の虐待通報に係る規定があるのであれば明らかにすること。

5 保護室使用について、精神保健福祉法の規程に基づく、院内での規定等を明らかにし、行動

制限最小化委員会等の議事録を公開すること。

6 保護室及び身体拘束の開始及び終了時刻について、保護者への通知方法を明らかにすること。

7 保護室使用者への虐待通報方法を明らかにすること。

8 精神障碍当事者の人権に関わる「虐待防止委員会」、「行動制限最小化委員会」、「苦情処理

委員会」等の議事録を会議開催ごとに、病院ホームページに公開すること。また、保護室使用及

び身体拘束の実態(理由、件数、時間数)を定期的に同じく病院ホームページに公開すること。

9 2024年度の保護室及び身体拘束の使用・実施延べ人員並びに総時間数を明らかにすること。

10 当事者抜きのカンファレンスでなく、毎月1回、病棟単位での当事者、職員による全員ミーティ

ングを開催し、その時々の課題解決と自由な意見交換が行える機会を設けること。

11 当事者にとって無制限の使用による恐怖を感じる、保護室使用及び身体拘束を全職員が実際

に体験し、「制裁や懲罰あるいは見せしめのために」(厚生労働大臣基準より)行わないことの意

義を確認すること。

 

                            連絡先

 430-0807 

浜松市中区佐藤1-43-1-608

                                         寺澤 暢紘

                                      TEL 090-9261-4840

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